寄席だより正月号
本年もよろしくお願い申し上げます
 新年おめでとうございます。当席は昨年10月1日より平常の営業となりました。 春風亭柳昇(1920~2003)の著書に『寄席は毎日休みなし』があります様に、<当末広亭 は本年も元旦より12月29日まで無休です。>が毎年の決まりのご挨拶でした。
 本年はその通りの営業が出来ます事を祈りつつ、皆々様のご来場をお待ちしております。
当席は落語芸術協会と落語協会の交互出演
 東京の落語家が所属する団体は、古い順に落語協会、落語芸術協会 、五代目円楽一門会、落語立川流があります。
 当席は落語協会の2団体で一年の公演は進行しております。
改めて寄席のシステムをお伝えします
 寄席は1ケ月30日を10日間に分け、1日から10日までを上席(かみせき)、 11日から20日までを中席(なかせき)、21日から30日までを(しもせき)。 31日は余一の日としております。なお、1月は元日より20日までは初春興行。 元日より10日までは初席(はつせき)、11日から20日は二之席といいます。
奇数月の上席、下席 偶数月中席は落語芸術協会
 落語芸術協会1930年(昭和5年)に六代目春風亭柳橋を初代会長に発足。 近年、五代目円楽一門会、落語立川流も出演。以前から所属の日本講談協会 や色物の新加入で賑やかな団体となっている。会長春風亭昇太、副会長八代目 春風亭柳橋。
奇数月の中席 偶数月の上席、下席は落語協会
 落語協会は大正12年に各派がまとまり発足が起源。昨年亡くなった小三治らが 入門の頃は60名ほどだったが落語家は現在は330名を超える。会長柳亭市馬、副会長 林家正蔵。
3月に真打昇進 落語協会の4名
 新真打の4名を紹介。
[三遊亭 律歌] 06年11月歌る多に入門、前座名歌る美、11年11月二ツ目で 美るく。真打で律歌(りっか)を名のる。
[蝶花楼 桃花] 06年11月小朝に入門、前座名ぽっぽ、11年11月二ツ目でぴっかり☆ 。真打で蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)。
[柳家 風流] 07年2月馬風に入門、鈴々舎八ゑ馬、11年11月二ツ目で八ゑ馬、真打で柳家風流(ふうりゅう)。
[林家 はな平] 07年3月正蔵に入門、はな平、11年11月二ツ目。真打もはな平で通す。
林家はな平
柳家風流
蝶花楼桃花
三遊亭律歌
  •  初春特別興行、初席の神田松鯉、の柳家小満んの主任(トリ)は初めてなのでひとこと ふたこと。
  •  松鯉は講談では一龍齋貞水(20年没)につづく人間国宝。昨年は旭日小綬章を受賞。当席 では毎年怪談噺(7月上席)と義士伝(1正月下席)を口演。昨年11月神田陽子と松鯉、12月は 神田伯山のトリがつづいた。講談隆盛の兆しが。総元締めが松鯉先生。
  •  小満んは昨年噺家60周年をむかえた。小満んの師匠は先代・八代目桂文楽 、のち先代・五代目小さんの門下。文楽、小さんは長年当席二之席の"顔"だった。
  •  正楽の年賀状には毎年、前年の客から注文順が書いてある。昨年は➀あまびえ、➁宝船、➂チコちゃん・・・ 。毎年➉位以内に顔を出す鯉のぼりが姿を消した。4、5月は寄席は休みだった。季節の注文鯉のぼり 、今年は3年ぶりに➉位以内に復帰をぜひ。
  •  昨年64歳で亡くなった漫才ホームランの勘太郎。新元号をむかえる平成最後の年賀状が筆者(大野)に。「新元号は大野元年です。」 おそらくこのかたちで方々へ年賀状を送ったのだろう。いかにもぶっきらぼうな勘太郎ギャグの年賀状だった。
  •  落語協会は今年9月3名の真打昇進が決まった。一朝門下春風亭一蔵、市馬門下柳亭市弥、 扇辰門下入船亭小辰。当席は10月上席夜に昇進披露興行。落語協会、本年は7名の新真打が誕生。
  • 当席の建造物が中心で放映されたテレビ東京「新・美の巨人たち」が今も話題になっている
  • あの番組は方々の世界遺産も紹介しているようだネ
  • 末広亭は昭和21年竣工、人なら今年は喜寿だよ
  • あの資材の乏しい時代によく完成したものだネ
  • それは当席の初代席亭の北村銀太郎が建築業の長男であったこともあるよ
  • 初代席亭は大旦那(おおだんな)と呼ばれていた
  • 大旦那のことはいずれまたにして、二代目席亭北村一男は当然若旦那と呼ばれた
  • その若旦那が小三治の噺家に大いに尽くした人だネ
  • 小三治の父親は教師で若旦那は教え子だった。両親は末っ子で男一人の わが子を噺家にはさせたくなかったんだよ
  • 若旦那が小三治父子を目白の師匠宅へ連れて行った
  • その時、若旦那が小三治の父に言った言葉に小さん師匠も驚いた
  • なんて言ったの?
  • "自分の子は死んだと決めて覚悟して下さい"って
  • よくぞ恩師に、若旦那の勇気ある発言だ
  • すえに二人の人間国宝が誕生とは、若旦那にも思わなかっただろうな
  • 末広亭の世界遺産も、夢が本当になるかも